私達の教育改革通信

   31  2009/7

 

 

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第4回新エネルギー世界展示会報告

                   海野和三郎

新エネルギーとは再生可能エネルギーのことである。その展示会が、6月24〜26日、幕張メッセで開かれ、NPO東京自由大学もアカデミックコーナーに、「海と森と人の和の太陽エネルギー工法」を出展した。実際に展示したのは、神田一番商事稲垣政二さんと東海大大学院博士課程の村岡真澄君の作成したミニチュアモデルと智の継承研究所進士多佳子さん作成のカラープリント説明図、それに実用規模のものとして陶芸家佐藤高弘さん作成のセラミックス・ソーラーポットであった。家庭用1kW発電で、石油火力より格段に安く電力を得ることを目的とし、辻内式非結像集光で手軽に20倍集光、森の役目をする太陽電池を水冷、熱エネルギーを対流防止で保温のよい海の役目をするスポンジ入のソーラーポット(海野多賀式ポーラス・ソーラーポンド)に入れ、20分で沸騰させてタービンを廻して発電するのが原理である。集光によって、比較的小さな太陽電池パネルを使って発電し、森の矢吹効果のように熱も十二分に利用するのが特徴であるが、集光装置が高くては元も子もない。大木式極シデロスタッと辻内式非結像集光を組み合わせた太陽電池パネルと同程度の価格の集光系が適当である。太陽電池の改良や単なる集光では、万年億年かけて貯めた石油を100年で使う逆効率には勝つのは容易ではない。

最終日の26日に説明会があり、装置の説明を大木健一郎さんが行った。その前に、海野が一言、この10年が21世紀人類の生存の危機でもあるが、人類進化の絶好のチャンスでもあるという話をした。100万年前、猿人の時代から、ヒトは体温を保つのに食・衣・住

を発明し、環境変化に生き残ってきた。この数十年の間、人は化石燃料を濫費して仕事の効率を上げ、結果として、エネルギー・地球環境・人口食料問題の危機に直面した。あと10年20年で石油ピークが来る。今が人類進化のチャンスだ、と述べた。

次の文章は、京大宇宙物理の花山・飛騨天文台の何周年かの記念号に投稿したものであるが、内容的に関連するので、ここに続けて掲載する。

環境天文学のすすめ 世界は地球温暖化やエネルギー問題などで騒いでおりますが、大問題であることは分かっていても、問題の本質を正確に理解し、人類の危機を乗り越える道を示している人は殆ど居ません。実は、今から5,60年前になるでしょうか、宮本正太郎先生が花山で惑星天文学をスタートさせ、飛騨天文台に当時としては大口径の惑星観測用の望遠鏡を造ったのが発端となりました。コロナの100万度や惑星状星雲の理論研究で知られた宮本先生が、何故、惑星観測に力を入れだしたか理解できませんでしたが、当時、湯川さんの中間子理論にあこがれて京大に集まった俊秀が、入試なしで内申入学となって(昭和19年)、宇宙物理に雪崩れ込んだのを上手く教育したのが宮本研究室でした。その一人が、私と松本高等学校同期の川口市郎君であり、その一年先輩に、松島訓さんが居た。松島さんは、その後、フィラデルフィアのペンシルヴァニア州立大の教授となり、彼が、宮本流惑星物理学を学位取得にまで教え込んだ最初の学生が、今をときめくJames HansenA. Lacisです。ジムが宇宙飛行士の毛利さんと対談しているのをテレビで見た人も居ると思うが、ジムは、CO2による地球温暖化を最初に正しく(間違えている人は多勢いる)定式化した人で、IPCCとやらのその方面の第一人者である。彼とLacisとの1976年だったかの論文には日本女性らしい共著者の名前もあったと記憶している。松島さんは、彼等が学位を取得する前後に彼等を武者修行に日本へ送り込んだ。東大の天文学教室の私の所にも2,3ヶ月は居たであろうか。惑星物理をやっていることは分かっていたが、何の目的で長居をしていたのか見当も付かなかった。それが漸く分かったのは、それから10年あまり経って、東大定年後近畿大学で海洋大循環やソーラーポンドの研究をし、地球温暖化に興味を持つようになってからであった。ジムとLacisが来た頃、私が研究していたのは、実は、星や太陽などのスペクトル吸収線が大気構造に及ぼす毛布効果が、プランク・カーブの長波長側と短波長側では、大気構造の温度勾配に逆の働きをすることであった。恒星大気と地球大気とでは、エネルギー入射の方向が逆であることもあり、吸収線の毛布効果と温室効果とは区別する必要がある。また、地球大気中では、温室効果と温暖化、温室効果ガスと温暖化ガスとは全く別といってもよいほど区別すべきであることも注意しておく必要があるが、これについては後で述べる。ジムの功績はその辺りをきちんとしたことである。松島さんは、先年亡くなられたと聞いたが、地球環境問題の草分けとして忘れられない人である。

 地球環境は超多次元の複雑系であるが、地質時代といった億年オーダー又はそれ以上の長期的変動と万年オーダー、千年から百年オーダーの変動とそれに伴う非線形変動、それに人類文明が主原因の一つとなっている百年以下の変動に分けて考え、その後で総合的な判断をするのでないと問題の本質を見失う。物理学や地球物理学からのアプローチでは、よほど視野の広い人でないと誤った判断をすることになる。その一つが、地表の平均気温の解釈である。古い理科年表をみると、海抜0mの標準大気の気温は約15℃であるが、その解釈に少なくとも3通りの解釈とそのヴァリエーションがある。その一つは、太陽定数1.37kW/m2を地球断面積で受けて、その4倍の地表面積で黒体輻射する温度(約5℃)に水蒸気、窒素、COなどの温室効果(10°)が加わって、15℃になるという考えである。第2の考えでは、太陽定数にアルベドAの効果(1−A)(=0.7)を掛けて有効地表黒体放射温度(−18℃)とし、それと15℃との差、33°を温室効果によるとする。

 第1のモデルは、アルベドの効果を無視しているが、夜間や極地の放射損失を過大評価しているので、結果はそれほど悪くない。第2のモデルは、アルベドの概念と温室効果と全く無関係なものとして扱われており、その上に夜間や極地の放射損失が過大評価されているので、地球温暖化を考える基礎のモデルとしては不適当である。地球温暖化を論ずる上で、もっと実際的なモデルがある。1000m以上の深さの深海水温度は、太平洋・大西洋・インド洋とも約3℃であるという。水深約2000mの北極海の海底温度は、地熱を0℃以下の表層に熱伝導するために、約3℃で、これが源流となる海洋大循環が北太平洋アリューシャンの辺りまで達し、フィリピン・インドネシア海域をバックして再び喜望峰を回って南アフリカ西岸から南米東岸を抜けて、赤道付近を東漸し、西大西洋を北上してグリーンランド沖で冷却し、沈み込む海洋大循環を概算すると約1000年のオーダーになることが分かる。この計算には、深さ4km、3℃の冷海水のつくる水圧と大西洋東岸の同深度の水圧との圧力勾配と北大西洋を南下する時のコリオリ力との釣り合い、或いは、地球一周距離での動径方向の圧力勾配と径1000mの渦粘性との釣り合いでも求められる。放射性元素による実測値では、1500年という。よほど、途中の南極海、太平洋、インド洋の熱力学環境が安定しているのであろう。その答えは、海洋のソーラーポンド機構に見出される。

 暑い夏の日、海面からの蒸発が盛んで、塩度が高まり、たまたま塩度が高く温度の低いゆらぎが出来ると、周囲より比重が高くなり沈み込む「塩の指」を生ずる。温度は一様化しても、塩度のため更に沈み込み塩の糸を生ずる。この不安定機構が毎日、毎年、万年、億年続くと、海洋の塩度は深いほど大きくなり、比重が大きくなるので、対流が起こり難くなる。北欧の塩田地帯に雨水がたまり、太陽光がさして、熱い水溜りができたソーラーポンド機構である。水は遠赤外光を透さないので、数10m100mで吸収された太陽エネルギーは夜間や冬季海面が低温になっても、熱伝導で出るのに1000年以上もかかる。その間に、海洋大循環をはじめとして、海流が平均化するので、世界中の深海温度は3℃となる。これが、海が守る普遍的な地球環境の標準平均温度に他ならない。従って、地表の標準温度が15℃であれば、それとの温度差12°が、温室効果によるものとなる。

 最大の温室効果を持つものは、水蒸気であるという。自分で勘定したことはないが、多分本当であろう。しかし、水蒸気は温暖化ガスでないことも明らかであろう。つまり、12°の温度差を上げるのには寄与したが、大気中の水蒸気量を増やしても気温は高くならないと考えられる。逆に、水蒸気が増えると、入射する可視光が雲などで遮られ気温は下降するかもしれない。地球全体の水量は、人の一生程度の年月では殆ど変らない。輻射輸達論の見地からすると、地球大気では可視光、近赤外領域ではフラックスが日中は内向き、夜は外向きだから、吸収線は、昼は遮蔽効果、夜は遠赤外と同じく温室効果となるが、昼はどっちみち対流圏では輻射輸達の効果は小さい。また、温室効果の増減は、フラックスでウェイトした平均吸収係数によるoptical depthの増減を通じて影響するから、強い吸収線を作る分子の増減は温室効果の増減にはあまり影響しない。つまり、多少分子数は増えてもそれ以上吸収は増えない。結局、最強の温室効果を持った水蒸気は、温室効果はあっても温暖化効果はなく、雪や氷によるアルベド効果で、寒冷化ガスであるかもしれない。これに反し、二酸化炭素CO300K前後の黒体輻射の遠赤外光を吸収する多くの振動・回転準位での不飽和吸収線を持つので、代表的な温暖化ガスとして働く。恐らく、ジムは水の影響、夜昼・季節の影響、緯度・地域差なども考慮した計算をしたことであろう。2,30年オーダーの地球温暖化の最大要因は、万年・億年かけて地球が貯めた化石燃料を100年で浪費する人為によるCO量の増加によることは、間違いないであろう。

 COの温室効果は、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」にもあるように、昔から知られていた。46億年の太陽進化では、プレカンブリア期からの何十億年の間に、太陽は2割ほど増光したが、地球環境では、森林が繁茂し、光合成でCOを減らし、そのため、動植物の生存条件が十億年の時を超えて保たれてきたという。森は、大量の水を吸い上げて葉を太陽光から保護すると同時に、水蒸気を大気中に送り込み、断熱温度勾配を下げて、対流を促進し、森の中は風が通り、その風でCOが葉に運ばれ、乱流拡散で葉緑素に達する効率が20倍にもなる。有名な矢吹効果である。太陽光をまともに受けると約90℃、海が平均化して3℃、1気圧の大気下では、水が液体の水である温度で、それによって地球生命が維持されている。銀河宇宙1011個の中に、地球のような惑星を持った星が何個あるか。奇跡の地球!その奇跡を動物・植物・微生物が守っている。その奇跡! 20世紀になって、石油・石炭の大量浪費によって、地球温暖化が進み、エネルギー・地球環境・食料(人口)問題が、同時に絡み合って、人類生存の条件が厳しくなってきた。人類は、これまで衣食住を発明して環境変化をしのいできた。21世紀の危機には、億年かけて進化してきた海の知恵と森に知恵と、それに人の知恵を結合して難局を乗り越えるのがよいであろう。(以下、前出の第4回新エネルギー展示会の話と重複するので省略)

 

『小田川先生のいいお話』         

男性も食事を作って長生きしましょう

小田川利嘉「白寿への健康法と心がまえ」より転載

 

食事は一日も欠かせない生命の源で、世界中の人が、各々その国の風土にあった食事を工夫して作っている。食事の作り方は千変万化で創造の芸術とも言われている。 日本人には何と言っても日本食が第一である。御飯に漬け物、みそ汁が基本で、これに、山の幸、海の幸が加わる。その他、すし、そば、うどん、もち、天ぷら、すき焼き、刺身、おひたし等がある。 材料は、伝統のある良質の国内産のものがよろこばれるが、委までは世界中から安価で、大量に輸入されて、この割合は54%に達し、まだ増加の傾向にある。

また、禅寺の簡素な食事から、高級料亭の複雑なものまである。 一般家庭で取る食事は、バランスの取れたものなら何でも良いが、大豆と魚と海草は長寿の三大要素と言われているので、これを毎日取りたいものである。

 この大事な食事を作っているのが女性である。一生涯作って定年はない。 計画を立て、材料の買い出しに行き、時間をかけて料理する。食卓に並べる。家族と共に食事する。あと片付けもする。 おいしい食事を作るには、大変な脳と体の働きが必要である。この間、女性は自分の作った食事で家族の喜ぶ笑顔を見て、自分も喜び、満足感を味わう。毎日この繰り返しである。 たまには自分の好きなものを作って喜ぶ。それで女性は老化するいとまが無い。女性の長生きの秘訣は生涯の食事作りにある。日本の女性の平均寿命は83歳で世界一である。これはまだ延びる。

 男性は定年退職すると、充実した第二の人生を送る人もあるが、その割合は少ない一般の人はガックリと来て、暫くの間は長年働いた疲れ休みにと毎日ゴロゴロしている。 これがくせになり、体と時間をもてあまし、悪くすると粗大ゴミにもなりかねない。長く続くとついに生気を失い、生き甲斐も感じなくなる。ついに往生の旅立ちが近くなる。 男性の平均寿命は76歳で、女性より7年も短い。これは大変な差である。努力次第では延びる可能性は充分にある。女性を見習って長生きの工夫をしたいものである。それには、毎日欠かせない食事を作ることが一番である。

 食事を作ることは、動物、植物等の天然の材料を食べ易いように小さく切って、これを焼いたり、煮たりして熱を加え、おいしくするため調味料を加えて、その結果全く変わった新しい物質を生み出す、極めて精巧な技術でむずかしい仕事である。この仕事を毎日誰かがやらなくては、人間は生きて行けない。今は女性がやっているが、男性でもその気になればやれないことはない。 目玉焼きは誰にでもできる。食事に興味を持ち、材料を研究し、料理の方法を習い、味付けを覚える。そして簡単なものから作ってみる。段々上達して自分の好きなものを作れば楽しみも増す。 また、男性が食事を作ることが出来れば、家族が病気した時は、自分も助かるし、病人食を作ることが出来て、大いに助かる。 食事の喜びと生き甲斐も出て、食事の有り難さも分かり、女性への感謝の念もわいて来る。耐えざる努力で体調も整って、自ずから長生きすることになる。

 食事の他に、女性のすぐれた点は、お化粧と服装である。女性は、髪の手入れをしてお化粧すると、5年か10年は若く見える。若く見えることは心も若返るのである。 服装については、外出の時は季節に合わせて、好きなものを沢山の衣服の中から選び、美しく着かざって若返る。若返るので長生きする。 男性も女性を見習って、無精ひげを伸ばさないで、服装も変化を求めて、さっぱりとした形を整えて若返りたいものである。形を整えて若返れば、自ずから心も整い若返る、心が整えば長生きする。 また、日本人の海外留学生は、食事に対する知識や料理の手作りの有無の相違から、病気にかかる割合が、女子より男子が高いと聞いている。

 男性は若い時から食事に興味を持ち、作り方も少しずつ覚えておきたい。定年になって急に覚えるには、何倍もの努力を必要とする。 電力中央研究所理事で東電の顧問をしておられた萩原俊一さんは、日曜日の食事前には必ず、エプロンを掛けて台所に立ち、楽しそうに食事を作っておられた。先見の明と言うべきでしょう。 ロシアのエリツイン大統領夫人は、「うちの主人は食事のあと片付けをするよい夫」と自慢している。 私は年を取ったのでただいまは、朝食はパン、牛乳、ヨーグルト、果物ですませ、夕食には必ず納豆に大根おろしをまぜて、これに酢をかけたものを食べている。サッパリとした満腹感を味わえる。

 男性も女性を見習って、食事を作って長生きをしましょう。(平成8年9月、94歳)

 

『晩成』の美学 (美学シリーズ8) 

     未来創庵  一色 宏

 15歳から働き始め、19歳のときテキサス州の州都オースティンに出て職業につく。不動産会社の帳簿係,州の土地管理局製図係から、ファーストナショナル銀行支店の出納係へとステップアップしていった青年がいた。25歳の時、6歳年下の女性を見そめ、駆け落ち同然で結婚。病弱であった妻の勧めで短いエッセーを書き、雑誌に投稿しているウチに、新聞の編集に関心を持つようになる。1984年、売りに出されていた月刊の新聞社を買収し、週刊新聞「ローリングストーン」(転がる石)を発行する。この新聞の経営に手を染めたことから、彼の運命は文字通り、転げ落ち始めついに1年後に廃刊に追い込まれる。義父や友人からの借金、賭博に手を出しているうちに、銀行の資金を流用してしまった。連邦銀行調査官の査察によって告発されるが、友人達の支援もあり、銀行は使い込みを不問に付してくれたが96年再び警察に告発、妻の病気を理由に保釈手続きをして逃亡。ところが妻が危篤に陥り帰宅、看病の甲斐もなく、8歳の娘を残し息を引き取る。彼は逮捕され、州の刑務所に3年3ヶ月服役する。

 彼のすごさは、この人生の汚点をバネに大きく人生を革命したことであった。亡き妻、祖父母に預けた娘。二人への強い贖罪の気持ちが、塀の中でこつこつと文筆に勤しみ、小説家に転身する修行に向はしめたのである。友人を介してニューヨークの雑誌社に投稿1901年7月、模範囚として出所。娘に会いにピッツバーグへ。翌年の春、雑誌編集者に招かれてニューヨークへ。このとき40歳。作家になったのは遅かった。が、短編小説を州に1篇以上書き上げ、1904年には66篇、1905年には54篇を発表した。高等教育を受けていない、地方出身で前科もある。そんな男が選んだのは、面白いエピソードを、巧妙な出だしと、切れ味鋭い落ちのある文。それが読者の心をつかんだ。彼の名は「オー・ヘンリー」。

 有名な『最後の一葉』は肺炎で今にも死にそうな若い女性のアパートのまどからは、レンガの壁に張り付くツタの枯れ葉が見えていた。この枯れ葉が全部散る時、自分も死ぬと思い込んでいた。夜、嵐になり、朝、枯れ葉は一枚残っていた。この一葉に勇気づけられた女性は元気を取り戻す。一枚の葉は、実はうだつの上がらない老画家が壁に描いた最後の傑作であった。画家は肺炎で命を落とす物語である。

 また、『賢者の贈りもの』には、貧乏だが仲の良い夫妻がいた。明日はクリスマス、妻は自慢の髪を売って、夫は自慢の金時計を換金して、互いの贈り物を買う。翌日、妻がもらったのは髪につける櫛、夫がもらったのは時計の鎖・・。

 彼の作品の魅力は、辛酸をなめ尽くした彼自身の体験からにじみ出る哀愁のこもったエピソードや、貧しい人々の側に立つ視点にあった。47歳の時、肝硬変と心臓病を併発してニューヨークの病院にて死去。皮肉にも人気の絶頂を迎えたのは、死後に全集が刊行されてからであった。彼の書いた短編は272編。今なお、世界各地で読み継がれている。・・ヘルダーリンは言った『苦難が胸に勇気を、精神に光を与える』と・・

『ミラー・ニューロン』

地球システム・倫理学会第5回大会総会:生命部門

現代脳科学と人間―ミラーニューロンを踏まえた人間理解の可能性――       麗澤大学教授  立木教夫

1 はじめに

2 ミラーニューロンの発見

(1)発見者(2)サルでミラーニューロンを発見

(3)ヒトでミラーニューロンを発見

3ミラーニューロンの機能

(1)行動に反応する(2)文脈を捉える

(3)意図を捉える

4 ミラーニューロンの進化と発達

(1)進化(2)生得的と発生的(3)自他の区別

5 デイスカッション ――道徳研究の科学的基盤――

(1)模倣(2)共感(3)社会関係

聴講の感想(海野)

ミラーニューロンというから、視覚と結びついた神経組織であろう。しかし、文脈を捉える、意図を捉える、というから、脳の言語機能とも結びついた神経組織のようでもある。音楽やお祭り騒ぎ、あるいは、逆に座禅などは、むしろ聴覚と結びついた神経組織が働いているようであるが、その場合は、先天的に個々のいのちに伝わった遺伝的な資質の意味が強いように思える。対照的に、ミラーニューロンは、模倣、共感で社会関係を作る窓口にあるらしく、ミラーニューロンで入力された情報は、超多次元の複雑系として映像若しくは言語機能で分類解析されて脳に貯えられるのであろう。そんなことが果たして可能なのであろうか。蟻は、蟻塚をつくったり、茸を養殖したり、一糸乱れぬ社会生活をしているように見える。蟻にもミラーニューロンがあるのか、立木先生にお聞きしたら、何とかホルモンの働きだそうであるが、ミラーニューロンにそのホルモンが入っているかどうか聞き忘れた。それはともかく、ミラーニューロンと言語機能との多次元性の関係は、今後の重要な問題ではないだろうか。

以前、『絶対矛盾的自己同一』のピラミッド・モデルというのを作り、上田閑照さんに「宇宙のトラさん」という渾名をもらったことがある。ピラミッドを四つ切りにして高さ半分の子ピラミッドを4個つくると、全表面積は変わらない。これを無限回行うと、砂粒のような子ピラミッドが無限個できるが、総表面積は親ピラミッドと同じである。高さを半分より大きく8割にすると総表面積は無限大となり、横は毎回1割減らしても、事情は変わらない。表面積無限大、無限に小さい針山のような点ができる。表面に字を書けば、情報量は無限大である。面積は本来2次元であるが、この針山のフラクタル次元は、3次元に近い。考え方の次元を上げることを、西田哲学では「ひらけ」というらしい。無限大まで行かなくとも、人間の脳のように脳のひだを深くし増やせば、より多くの情報を貯えられる。フラクタル次元の計算は、無限個ばらまいた2点間の距離がrより小さなペアの数がrの何乗に比例するかで求めるので、フラクタル次元という概念は針山の数が無限大でなくとも十分多ければ通用する概念である。従って、“開け”も個人の心のなかで起こり得るものである。ミラーニューロンのフラクタル次元は、恐らく個人個人で違い、個人個人でも、対象により経験により違ってくる、つまり、“開け”が起こり得るとすると、ミラーニューロンは教育ニューロンにもなりうるように思える。ミラーニューロンの特性と存在を意識的に活用して、超多次元の精神文化の建設に役立てるよう期待する。

 

花と話す水木鈴子さんの詩

『白梅』    みずきすずこ

 聞いたことありませんね、

母さんの「さよなら」は、

 いつもきまって「じゃあ。またね」。

 

 凍てついた空気さえも、溶かしてしまう白梅よ。

 いそいそと会いに行ったら、

 待っててくれた白さに、

 うれしい気持ちが弾みます。

 好き! その白さが。

 好き! その香りが。

 

 あなたが投げかける素敵なひととき・・・。

 逝かせたくないけど、

母さん流に「じゃあ、またね」。

 

『エネルギーと文明』   海野和三郎

 “文明とは、エネルギー利用の形式であると言ってよいほど、エネルギーと文明とは深い関係にある。”1年以上前に、朝倉書店『エネルギー事典』(今年度末か来年初頭に発刊)の一節に、上の題名の文章を書いた。割と上手く書けていて、多くの人に読んでもらいたいので、要点を以下に抜粋する。

 太陽と水と植物などの力に人力を加えて、古風に云えば、太陽エネルギー起源の地水火風空(五行)のエネルギーをコントロールすることに成功したのが古来の文明である。時と所により、地政学的な差異はあるが、農業生産や牧草、木材などのバイオマスも含めて殆ど全てが太陽エネルギー起源の再生可能な自然エネルギーである。その状況が産業革命以後変わり始め、20世紀には石炭石油などの化石燃料に大きく依存する文明となり、20世紀後半に原子力がそれに加わった。これらの状況を、常用対数の小数点以下を四捨五入する程度のごく荒い量的判断で、エネルギー源と文明の関係を調べることにする。この算数では、エネルギーと費用は等価で、ひと1人は平均約1kWのエネルギー消費で生きていることになる。ところで、地球に届く太陽エネルギー量1.4kW/m2を太陽定数というが、これは大気圏外の値であるから、大気による減光を考慮して約1kW/mと覚えやすい数字となる。太陽光の当たる地球断面積は約130m2、陸地がその1/3、したがって地上で利用可能な太陽エネルギーは約40kWである。このエネルギーをどれだけの効率で利用すれば全世界の文明を支えられるかが次の問題である。

 世界人口は、20世紀になって、19世紀末の約15億人から約4倍の60億人に急増した。これは石油・石炭などの化石エネルギーの大量消費によるものであると考えると、太陽エネルギーに由来する自然エネルギーで維持しうる世界人口は約15億人、利用するエネルギー消費は約15億kWとなる。したがって、利用可能エネルギー約40kWに対して、利用率は約3万分の1弱となる。これを人口問題に最も基本的な農業生産でみると、全土地面積に対する農地面積が約1%、穀物や食用植物の葉にある葉緑素の被覆面積が農地面積の10%、葉緑素が太陽光で光合成するエネルギー転換効率が10%、光合成されたバイオマスの1/3が食物とすると、食料生産における太陽エネルギー利用率も約3万分の1となり、19世紀末までの世界人口を維持できることになる。ただし、上に用いた数値はすべて大きな誤差を伴ったもので、結果は単なる数字あわせに過ぎないが、そうした数字あわせが可能であることの意味に留意しなければならない。たとえば、後にも述べるが、葉緑素の光合成エネルギー変換効率10%(宮本健郎:エネルギー工学入門、培風館)は、太陽電池の発電効率と同程度で、40億年前に水環境で植物が獲得した太陽電池工学であった。

 20世紀になって、石油石炭などの化石エネルギー消費が急増し、農業機械の利用による農業の拡大、肥料や家畜飼料の工業生産、運送力の増強があり、それとともに、世界人口は約15億から20世紀末には4倍の60億人に急増した。途中から原子力エネルギーが加わり世界人口100億人になる日も遠くはない。このままでいくと、人類はエネルギーの枯渇に苦しむことになり、そのタイムスケールは100年のオーダーであり、すでにその予兆は戦争などの形で世界各所に現れている。

 また、地球環境は主として海と森林に守られているが、なかでも北極海起源の海洋大循環は約1500年の周期で大西洋、太平洋、インド洋を一巡して大西洋に戻り、1000mより深い新海水は北極海底の水温約3℃の水である。これが70%CO2を抱えているという。CO2は地球温暖化ガスとして知られており、化石燃料の大量消費による温暖化は、さらにツンドラからのメタンの放出などによる北極海周辺の温暖化が海洋大循環に影響を与えると、人類の力の及ばない地球環境破壊になる恐れがある。その泥沼に踏み込む前に、是非とも、化石エネルギー依存の文明から、太陽エネルギーの利用効率を格段に上げて、新方式の太陽エネルギー文明に切り替える必要がある。そのタイムリミットは以外と早く、20年くらいと予測される。

 原子力や核融合炉の議論、および、水力・風力・バイオマス、地熱・海洋発電などについては、ここでは省略する。ただし、火山島地下1000mのマグマの高温と深海水3℃との温度差を利用する地熱海洋発電は、地下1000mの高気圧による沸点上昇で熱機関の効率が1に近くなることもあり、その将来性は絶大である。技術開発が必要である。

 太陽光の持つエネルギーを直接利用する太陽エネルギー装置として広く普及しているものに、太陽光発電パネルと太陽熱温水器がある。太陽発電パネルのエネルギー変換効率は20%程度と聞くが、天候、斜め入射、温度効果などのマイナス要因が避けられず、実質的には葉緑素と同じく10%がよいところである。太陽温水器の場合は、保温の良否が問題であるが、夏は70℃にもなるというから、熱機関としての仕事効率は、環境温度からの温度上昇を絶対温度300°Kで割って約20%、天候、斜め入射のことを考慮して、やはり発電効率10%としてよいであろうか。

一方、競争相手の石油火力は、太陽エネルギーから石油形成に至る効率は非常に小さいが、例えば、億年かけて地球が貯めた石油を100年で使う100万倍の逆効率が掛かっているので、太陽エネルギーからの火力発電効率は1以上になり、これが、家庭規模で比較して太陽光発電と温水器が石油火力に勝てない理由であると考えられる。それではどうするか、答えは極めて簡単である。太陽電池パネルと同程度の値段の安い集光装置を使って、10倍以上の集光をして、家庭規模で1kW程度以上の発電をすることである。その際、太陽電池が発電に使わなかった8割以上の余熱を冷却水に吸収し、それを上部のポーラス・ソーラーポンドに導き、その温水を、10倍集光の太陽光で、更に加熱沸騰させて蒸気タービンで発電するとよい。電力価格は石油火力発電の1/3以下となる。勿論、熱水を暖房などに用いてもよい。安価な集光装置が鍵であるが、例えば、上下左右2m強、5m2程度の口径の球面鏡を、1辺50cm程度の正方形平面鏡2025枚を張り合わせて近似したような第1鏡を、極軸の回りに1日半回転するシーロスタットに乗せて駆動すれば、あとは、真南に固定した平面鏡でほぼ真下に反射すれば、第1鏡の焦点の位置に第1鏡の平面鏡1枚の解像度で(斜め入射の効果も含めて)20倍程度の非結像集光ができる。天文台の太陽塔望遠鏡と違うのは、第1鏡を上記の平面鏡張り合わせた近似的球面鏡を用いるだけで、後は斜め上方の平面第2鏡での反射を、固定の焦点面に置いた太陽光発電と太陽熱発電の装置で受け、それぞれの欠点を補い合う仕掛けをすればよい。太陽高度の季節変化に対しては、第1鏡の極軸への取り付け角度か、第2鏡の高さを季節毎に調整すればよい。

第1鏡で受けた5kWの太陽エネルギーの約半分がソーラーポット最下段の(30cm)2の太陽電池パネルに当たり、0.3kWを発電する。余熱は冷却水の対流で運ばれ、それを加えた4kW余の光熱エネルギーは、網で上段に仕切られた吸収層で吸収され沸騰水をつくる。吸収層は、2mm程度のポーラス構造で対流阻止し、その下部は不透明で上部からの太陽光を熱に変える構造である。不透明層は穴が空いていて、約半分の太陽光は下部の太陽発電パネルに当たる仕掛けである。沸騰水は約2割の効率で蒸気タービン発電し、0.8kW発電すれば、太陽光発電パネルと合計して1.1kWの発電となる勘定である。発電装置と蓄電装置が必要であるが、それらを含め、大量生産すれば、20万円くらいで、家庭用1kW発電が可能であろうか。10年で20万円とすれば、1年2万円、月2千円弱で原価償却可能だから、石油火力による電力に比して格段に安い。山間の奥地であれ、島嶼であれ、利用可能である。強風による被害に対しては、集光鏡を折りたたみにする事も出来よう。

NPO法人東京自由大学では、研究会を開き、関心のある方、技術をお持ちの方、企業化をしたい方など随時参加して下さることを歓迎しています。

       

[Asia’s Turning Point] 新刊紹介

AN INTRODUCTION TO ASIA’S DYNAMIC ECONOMIES AT THE DAWN OF THE NEW CENTURY

By  Ivan Tselichtchev and Philippe Debroux

WILEY John Wiley & Sons (Asia)Pte.Ltd

 

「アジアの転換点」  (文責:海野)

今の日本に欠けているグローバルな政治経済の観点を示す著書を、韓国で地球環境や国際問題の研究会に出席した際に著者の一人新潟経営大学教授・日経新聞研究センター客員研究員のイワン・ツェリッシェフさんに頂いた。400頁近い大著を教育通信で紹介するのは不可能であるが、幸い、著者による概説も貰ったので、ここではそれに従って、概説の概説をすることにする。

2008年の文献をサイトしてあるから、新刊とみてよいであろう。日本にいると、政治やジャーナリズムの国際的視野が狭く、右か左に偏向した議論ばかり聞く機会が多いと感ずる。今の日本に欠けているグローバルな政治経済の観点で、たまには、ロシアの人の著書をみるのも悪くないであろう。

著書は、PART1: REGIONPART2: NATIONSに分けて、アジア全体の経済発展の描像と各国別の経済政策が述べられている。PART1は6章に分けて、国際社会向けに、政治・経済・労働・福祉などの20世紀の発展が統計的に述べられ、PART2は14章に、各国別の特殊事情も含めて論じられている。

著者の概説では、両者をまとめて、「2000年代のアジア経済・ビジネスを考える」として、

1.          2000年代のアジア経済の構図 シンガポール、香港、韓国と台湾は先進国・地域になっている。

2.          アジア経済・企業が「米欧化」、「市場化」している:

2000年代の三つの大転換 

2.1.官主導から「企業中心」へ a)国が産業・企業を保護支援するより、その自由化と効率化を促す。しかもアメよりムチを使う b)一方、中国と東南アジアの国営企業は市場経済の強いプレイヤーとして登場している

2.2 企業像が変わる:所有、統治、経営 a) 外国人をはじめ「外部」株主の地位が高まっている19902005との間、日本を含むアジアの上場株の時価総額は倍増し30%に達した。日本以外の時価総額は10倍増、日本は7.5兆ドル、その他のアジアは4.7兆ドルとなった。Equity Financeが重要性を増している。日本:1994から2004までの間、安定株主の持ち株比率は50%弱から24.3%まで低下し、外国人のそれは5%から25%強となった。韓国:2007年に財閥創業者同族はじめ個人のシェアは21.8%外国人シェアは32.4%となっていた。中国:1996から2003まで国営企業数  は、114,000から34,000まで減少した。半分は民営化によるものであった。 b)アジアは企業統治について真面目に考え始めている c)利益・企業価値を優先する経営 d)e金融部門の健全化が進む f)g)選択・集中、製品差別化、ブランドが重視される 2.3労使関係が変わる.長期的雇用、会社と社員との密切な関係や社員の忠実感を重視するファミリー型から市場型、契約型へ

アジアの成長パターンが変わる:2000年代の特徴 3.1 工業化中心の成長から、サービス化と高度化・付加価値中心の成長へ アジア経済はますますサービス化しつつある。また、工業生産は量的拡大より、「質」が重要になってくる 3.2 成長率の低下と二極分化 アジア金融危機後、回復は速やかだったが、成長率が下がった3.3中国主導の成長とその意味 中国以外の東アジアの世界GDPは比率が横ばい、世界輸出の比率は低下している。日本の比率は急減。アジアの域内貿易も中国を中心に拡大している。しかも、中国はシンガポール以外の東アジア諸国との貿易収支は赤字となっており、マーケットの確保により、アジアの成長を支えている。3.4需要国:中流階層の拡大と大量消費社会の形成 新工業国はすでに大量消費の段階に入っている。しかも消費者ニーズが高度化し、ブランド志向が高まっている。しかし、その国内市場の規模は小さい。中国やアセアンの大国(インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム)でも同じような動きが見られるが、大量消費のベルトは今まで、大都会とその周辺に限られていた。しかし、これから、大量消費の形成プロセスは小都市及び農村にも広がっていく。ますます、その大国の市場のポテンシャルが現れ始めている。

4.現在在のグローバル危機はアジアへのパワーシフトを加速する 2008-2009年にもう一つの二極分化が明白になった。「不況国」(日本、台湾、香港、シンガポール)と成長を続ける国(中国、ベトナム、インド、インドネシア、フィリピン)とのそれである。1997-1998年の危機を乗り越えるため献身的な構造改革をしたアジアは、今、公的資金を投入し、経営陣に余りにも厳しい条件を付けず、だめになった企業や金融機関を救済しようとしている欧米に対し、構造的な面に置いても、」金融面においても相対的に強くなっていく

5.問題点とリスク 5.1 省エネルギー・省資源経済へのシフトが遅れている 省エネ・省資源型成長への移行が遅れている5.2 燃料・資源・食料品不足のリスク。「何でも不足する」時代が来る危険性も。これは高インフレが戻るリスクを生む。中国をはじめ、アジア企業の多くは燃料・エネルギーが不足してくる潜在的リスクにさらされている。天然資源へのアクセスを得るための競争が激化している。グローバル危機がインフレを沈静化させたが、不況が終わるとインフレが戻ってくる。現行の景気刺激策はこれを更に深刻化させていく。5.4. 政治的リスクと不確実性 権威主義的な政権はどう進化していくか?不安定している政権が安定化するか?民族間の対立がエスカレートしないか?

6.日本と韓国の視点

1.輸出を増やし、その範囲を拡大する(アジア市場のポテンシャルを把握・利用すること)。輸入も拡大する。「日本の輸出が多い」考え方は賛同しがたい。2.日本のブランドをもっと積極的に活用する。地域ブランド、中小企業のブランドもアジアに知らせる。3.アジア・ビジネスの領域を拡大する。特に、大都市圏を越えたビジネスの機会を探る。4.アジア諸国の人材育成の支援と「グリーン」技術の移転に一層焦点を当てる。5.国際人やアジアの「プロ」を育成する。(後略)

複雑系であるアジア経済を、世界的かつ多次元の視野で、統計的な資料をもとに考察している点が特に評価される。「省エネ・省資源型成長への移行が遅れているアジア企業の多くは燃料・エネルギーが不足してくる潜在的リスクにさらされている。」日本は、国土も狭く、資源も少ない上に、人口も比較的多い。それが国内に閉塞感をもたらし、理由無き殺人や「自殺者3万人」といった「生きる意味」を見失った人が増える理由であろう。しかし、日本には、それらの困難を乗り越える力が昔から具わっており、未来に向かって進化する技術と文化を持っている。それは、ある意味で世界に認められていることでもあるらしく、「日本がこの難局を切り抜ければ、それが即ち世界に対する大きな貢献になる」と、カール・ベッカーさんは云う。また、10年ほど前、イランなど中近東の人が出席したインドでの宇宙物理学会に出たとき「21世紀のリーダーは、アメリカでなくジャパンだ」と、インドの友人に言われて、びっくりしたことがある。

この件に関しては、2,3の提言がある。1つは、経済学を「金融経済」と「市場経済」の2本建てでなく、複雑系科学としての超多次元解析により、混沌の進化の短期的法則性を把握する「複雑系(混沌)経済」を加えて、3本建てにすること。第2は、初等教育に、日本的アニミズムを取入れて、生徒に「生きる感動」を会得させること。第3は、新エネルギー技術の公開・利用に対する国家支援である。東京自由大学の「海と森と人の和の太陽エネルギー工学」については、冒頭に述べたが、公報活動は不十分である。第2の「アニミズム」については、故山尾三省さんなどが最近では有名であるが、130号、絹谷幸二さんの進化論「いのちのコアを探す、衝撃が全身に走り、人間だけが画を描くのだという思い上がりに寒気が走った。」も、見事な日本的アニミズムである。森の太陽エネルギー工学の「矢吹効果」や、水が液体の水である地球環境を海と森と生き物自身が40億年協力して守ってきた「地球システム倫理学的アニミズム」も教育的である。

               (編集 海野)