市民と市政をつなぐ議会傍聴情報 2011年5月28日発行
第55号 号

お
目 次
市議会議員選挙をおえて 代表 神津幸夫 ・・・・・ 2
放談会 <多摩市議選と通信簿> ・・・・・ 4
地域委員会―――デモクラシーの発展 永山 深沢宏行 ・・・・・ 7
ウオッチングの会へ入会して 鶴牧 鶴田加代子・・・・・ 9
お知らせ
・・・・・10

川井家のしだれ桜
季節はずれの写真ですが、この春の見事な桜です。
この桜を守るべきか、財政難の折、なくしても致し方ないとするか、議会でも議論の
分かれるところとなりました。
市民の皆様の判断は?たかが桜、されど桜、議会の議決は市民意思決定の「場」
であることを、市民一人ひとりが再認識し、行動しなければならない時ではないで
しょうか。
市議会議員選挙を終え
新しい議会へ
代表 神津幸夫
「議員の通信簿」の市民の反応
4月の市議会議員選挙の前に、弊会は多摩市議会ウオッチングニュース54号として「議員の通信簿」を発行しました。今回で3回目の通信簿になります。
5,000部を用意し、駅頭での直接配布、市内のコミセン、図書館などに置き、戸別ポスティングなど行いました。
駅頭での配布時には会員が「多摩市議会ウオッチングの会」の腕章をしていたせいか、議会の文字だけが目に留まったらしく、歩み寄ってこられた市民の方から「議会・議員は何をしているんだ」と怒鳴られたことや、「議員の数は多すぎる」、「議員報酬が高すぎる」、通信簿とは直接は関係ないのに「市職員給与は高すぎる」、「私の知っている議員の評価は?」、などと言われました。それから「いいものを出してもらって、ご苦労さん」等のエールもいただきました。
今回、各新聞社も取り上げたこともあり、「通信簿を送ってもらえないか」「何処に行けば入手できるか」「分かり易く良かった」「頑張って」など数十件の電話、お手紙、お葉書、を頂戴し、今もまだ届いたりしています。中に2件の抗議電話もありました。
上がらない投票率
弊会としては、より多くの市民の意思を反映できる議会であってもらいための手段として、投票率の向上を願い活動をしてきましたが、今回の投票率は(今回46.78%、前回47.95%)前回を下回ってしまいました。選ばれた議員が、市民から付託された意志決定の「場」となる議会は、少なくとも50%〜60%を超える有権者の意思が反映されなければならないのではないでしょうか。
投票をしない市民は、全く無関心のお任せスタイルでいるのでしょうか。
これまでの全て右肩上がりの成長時代は、国も地方も歳入の分配を如何に行うかでよかったことが、これからは不歳入の配分をどうするか、どうしなければならないのかという厳しい時代を迎えています。
一地方でいくら頑張っても自治体の歳入は国次第で、多摩市でできる範囲などしれているといってしまえばそれまでのことです。これまでと違う時代を迎えた今、利益ではなく不利益の負担を市民一人ひとりがどう覚悟しなければならないかは、全国一律ではなくその地に住む市民が自ら決断すべきではないでしょうか。
この時代の変化にありながら、自分たちの代弁者である市議会議員選挙に無関心である市民はこの問題にどう対応するつもりか伺いたいものです。
投票率は低迷しましたが、今回発行した通信簿が、市民の皆さんの投票行動にどの程度の参考になったのか、様々な思いがあります。
議員の主戦場は「議会」
通信簿の評価はあくまでも公開された議会・委員会での5つの視点(政策提言度・行政チェック力・知識調査力・意欲態度・説明説得力)であり、議員活動の一面ともいえます。しかし市民が知り得る公平な議員活動の主戦場はあくまでも議場と考えています。
この議会の状況は市民にとって議員活動を見ていく上でとても重要な要素となることも間違いないことであり、それを知りえる手段としての「場」であるはずです。
各議員は地域、後援者などとの意思の疎通は日ごろ十分に行われていると思われますが、それを「集約」し、「提案」し、「決定」するのは市全体、かつ長期的見地から議会で議論が行われなければならないことはいうまでもありません。
昨年、多摩市議会は「議会基本条例」を議員自らが制定し、「市民参画」「公開」「討議」をキーに作成されました。この条例に照らし合わせた視点での評価でもありますが、この点での議員自らの採点は如何なものでしょうか。
市議会議員選挙が終わって、“投票率が一向に上がらない”、“通信簿の評価も反映されない”という結果でも、“失職か否か”の議員さんと異なり、私たち会員は直接失うものは何もありませんが、この活動の空しさを感じています。
でも今また立ち止まって考えますと、当面個人として失うものはないとしても、やがてまち全体で失うものがもっと大きなものとして跳ね返って来るかも知れません。そうならないための一助となり、それが活動への報酬と考え、また前向きに努力しようとの想いに至っています。
議会は新生するか
新しく選ばれた議員の市議会の人事が5月16日の臨時市議会で決定しました。(最終ページお知らせ欄をご覧下さい。
話題性があったため、既に新聞紙上などでも報道されていますが、先に制定した「議会基本条例」の定めにより、議長選挙の所信表明が公開されました。
議長候補者の所信表明は、加藤松夫(改革YUI)、遠藤ちひろ(みんなの党)折戸小夜子(いろはの会)の三議員が行い、それに対し議員の質疑も行われました。
質疑の主なものは「議長任期は4年を主張しているが、4年間やる積りか」。「議員の少数精鋭といっているがどのようなお考えか」、副議長で所信表明を行ったのは安藤議員一人だったが「何故議長ではなく副議長なのか」などでした。
質疑応答にもっと時間をとり、突っ込んだ質疑がされたら、傍聴者にも分かりやすく有意義なものになったかもしれませんが、時間も限られ、形式的にプロセスを公開しただけではなかったのではないでしょうか。
また 所信表明はそれぞれに主張がありましたが、その内容と投票結果が離れている、シナリオどおりではないのかなと感じた傍聴者は少なくなかったはずです。
何れにせよ結果は前期後半2年の議長だった折戸議員となりましたが、議会基本条例制定後の初の議長としては期待に応えてもらえませんでした。2年間では成果は無理と思っているのであれば、通算4年となる今度こそ「条例」に相応しい議会采配を期待したいものです。
議長選出は相変わらずの「数の論理」で決まっている、との感は拭えませんが、仮にそうだったとしてもそれを手段として、多摩市議会は、こんなに市民のための議会となりましたとの証を是非示して欲しいものです。
(了)


会員放談 多摩市議選と議員通信簿
主戦場−議会活動を評価しよう、ウォッチングを強めて
4千万円(4年)で議会を託すのにふさわしいかどうか
危機感を生んだか、可・不可の低評価議員続々当選
4月の多摩市議会選挙。結果も投票率も期待からほど遠いものだった。私たちはその1月前に4年間の傍聴に基づいて「議員の通信簿」を発行している。今号ではその関連性をめぐって放談を試みた。通信簿の議員評価は市議選にどのように反映したのか。明確な答えは出てこず、はっきりしたのは「議会ウォッチをさらに強めよう」ということだった。放談参加者は相田幸一、稲本美代子、勝山弘、神津郁子、神津幸夫、神西明、鶴田加代子、萩原承平、半田拓司、深沢宏行、牧野順一、水野宏、湊保弘、元山隆の14人。
連日抗議電話も
A 今度の選挙の結果については代表が総括を書いていますから、ここではまず会の出した通信簿との関係で話し合っておきましょう。
B 通信簿はけっこう反響があって新聞では朝日が2回(2月20日、4月15日)、2回目のは
A 市民からの反響は?
B 全部で30件余。多かったのは「読みたいがどこで手に入るか」という電話ですが、「わかりやすい」「参考になる」というのもあった。中には抗議の電話が2つ。1つは議員の支持者からのようで「立派な活動をしているのにこの評価はヒドい」という趣旨でした。もう1つは議員からで4月6日から9日まで連日電話を掛けてきた。
「選挙違反だ」「これから警察に届ける」とか「選挙妨害だ」なんて言ってきた。
C 恫喝まがいですね。
B もっといろんなことを言ってきました。電話は記録してあります。
D 通信簿で「不満」「大いに不満」としたのは計5人で、みなさん立候補したけど、落選したのは1人です。
A 通信簿は選挙結果にはあまり影響はなかったということでしょうかね。
低評価で危機感が刺激された?
D いや、表面だけ見ると引退した人の代わりにみんなの党の3人が入っただけで、あまり代わり映えしない、通信簿の効果は反映していないように見えますが、もっと細かく1人1人を見ていくと、かなり面白い。
E みんなの党の3人については、まあご時勢ということがあるでしょう。トップ当選の遠藤ちひろさんは市長選で知名度を大いに上げていたわけだし。
F 政策的な問題では評価されるべきものはないと僕は思う。その面では具体的に期待できないけど、議会に新しい風を送り込むという点では期待できそうな気がする。
A 私は通信簿の評価がそれなりに影響力を持ったと思いたいですが(笑い)。
D 評価の悪い候補が上位当選したのは明らかにある団体をバックにしてニュータウン中心に懸命に運動をやった結果でしょう。それから無所属の4人については噂によれば、票を稼ぐためにこれまでの選挙戦ではやらなかったような、ドブ板的な、殿さま選挙じゃないような運動をやったせいではないかと思う。
G それは私も感じている。危機感を刺激したんですね。逆に言うと通信簿がそういう作用しかしなかったとすれば、空しさも感じますね。
D 「おらが代表」みたいなところがまだ残っているんですよ。
本腰を入れて議会ウォッチを
H 僕はやはりショックでした。これまでも選挙の結果には無力感を感じるのが普通だったけど、今度は具体的に通信簿作りの活動をした後だったからショックは大きかったですね。さっきの「大いに不満」の人だって、むしろ票を伸ばしている。議会でやっていたことや動きを見ていると、とても多くの票を集めるとは思えない。いったいどこを評価したのか、これは評価以前の問題だとさえ思う。今後とも本腰を入れて議会ウォッチをしなければいかん、そう思いましたね。
I 次回の通信簿は違う作り方をした方がいい。あの作り方では、前回の選挙である議員に1800人が投票したとして、その人たちに失礼じゃないか、と思う。もっと応援した人の立場に立って、例えば「健康に気をつけてもっと議会では議論して下さい」とか(笑い)。次回はそういう工夫をする必要がある。
A ホメ殺し、ですね(笑い)。
D それにしても前回の通信簿でハナマル(秀)をつけた候補が落選したり、評価がどの程度反映しているのか、正直言って分からないところはある。
I 投票総数が5万5411でしょ。通信簿の部数は5000。とすると、読むのは候補本人と後援会、選挙運動をする数十人。しっかり読むのはせいぜいそんなものじゃないですか。
B そういう感じはありますね。だから危機感を持った。でも議員の主戦場は議場だから私たちはそれについて評価をした。市民にもその目線でも見てほしかった。
I 私だって団地の階段を24回上り下りして配ったんです。みんな読んでくれたと思いますよ。
若い人にもっと配って
C ウチでは息子がとても喜んでいました。「具体的に書いてあるから短いけど評価がよく分かる」と言っていました。この社会では高齢者が優遇されつつあるように思います。私もそろそろ高齢者になりますが、子どもたちの世界って、これからどうなっちゃうんだろうと思います。この通信簿だって、もっと若い人に配ってほしかった。
G その話はポイントをついている。でも具体的にどうしたらいいか。今度の通信簿も駅頭で配布しました。聖蹟桜ヶ丘、永山、多摩センターで午後6時から8時近くまで。若い人はほとんどが目も向けない。あっち向いて通り過ぎる。いちばん温かかったのは中年女性ですね。それから高齢者が声をかけてくれる。これから一番利害関係をもつ若い人と中高年男子の多くは無視する。特に多摩センターは居住人口も多く、かつ有識者が多く住む地域と言われているが、三駅の中でいちばんガッカリした。市民力が低いとしか言いようがない。
F 僕は(4月)24日の結果を見て多摩市に将来はないと思った(笑い)。若者や高齢者に仲間入りする中高年者のためにと思ってやってきたが政治も選挙も無縁だという顔つきを見るともう勝手にしやがれ、と言うか、手弁当でやるのはそろそろ終わりの時機が来たな、というのがあのときの率直な心境でしたね。「大いに不満」と評価されてそれでも上位当選された議員は、一般質問に立っても持ち時間を25分も残し、まともな再質問や議論もなく終わっている。そういう議員に対してどう皆さんにお伝えし評価してもらうかと言えば、やるとなったら名誉毀損で訴えられるのも恐れずに腹括ってやらなくちゃ。
E そう、主権者の市民である我々がビビッてやめちゃうのはやはりよくないですよ。今後とも是々非々の態度で厳しく対処すべきですよ。
大事なのは多摩市なんだ
C 大震災や原発の事故でみんなの意識が多少は変わっているんじゃないですか。希望的観測ですけど、これまではもっとジコチュウ(自己中心)というか、考え方が老後は年金でそこそこ暮らしていければいいみたいなところから変わってきている…。
F 統一地方選は3.11から1ヶ月以上後ですけど。
C 5000部しか配ってないからじゃないですか。危機感はみんなにある。それはいいことなんじゃないかな。
F でも24日の選挙では投票率
C 関心が菅さんがどうとか、そういう大きなところにいっちゃっているんじゃないですか。私もそのうちの1人で自分のことばかりに精いっぱいだった。一昨年の年末、派遣村にボランティアで行ったりしたんですけど、それだけじゃないんだ、大事なのは
E 確かに5000部は少ないかな。例えば「多摩ニュータウンタイムズ」は11万部出ているんですが、反響のハガキは毎月300枚くらい。まあしょうがないですけど。
C お母さんたちのネットワークじゃないですけど、身近なところから何かできることないかな、と。息子や孫世代のためにもっとよくしていかなくては。
みんなの党はおじさん人気?
E 「ニュータウンタイムズ」でも、いちばんマメに書いてきて下さるのは50代の主婦の方ですね。中身も具体的な生活に根ざしているから、とても参考になる。真剣に読みます。それまでは生活に手いっぱいだったのが、50代になって周りを見てみたらまちはこんな状態になっている。それに気がついた、という感じですね。
今度圧勝したみんなの党に密着して取材したことがあるんですが、「みんなの党だったら入れてやる」というのは、おじさんが多かったですね。まるで「三越が駄目なら伊勢丹にする」みたいな感じでした。若い人はむしろ、他にいったんじゃないですか。
B 確かに、通信簿の反響で「いいものを作ってくれた」と言ってきたのは中年女性が多かった。で、私たちの挑戦すべきことは何か、ということになると、少しでも関心を持っている人は何とかなるけど、まったくの無関心という人には何をしたらいいのか。
A 要するに、自分たちのまちのことは自分たちで決めていくんだ、という意識をどう普遍化したらいいのか、ということですかね。
B 政策提案で言うと、口では立派なことを言っている議員は、それならそれを自分でやればいいじゃないか、ということなんです。前の総務大臣が地方にも議院内閣制を、と言ったことがある。そういうイメージなんですけど、議員が具体的に政策を作り上げて議会に持っていったらそこで議員間討論という形になる。結論的には市民の興味のあることをそこまで持っていったかどうか、それで議員を評価する。誰が政策を主導していくのか、そこに市民の目を向けさせる。
I 政策提案は各派にも出した方がいいですね。
G 市民生活を活性化させるための具体的な政策はいろいろとあると思う。例えばニュータウンに住む親の近くに子どもたちが住んだら何か特典を与える様な優遇策を掲げるなどですね。
年齢別投票率の開示請求を
H 今度の投票率について言うと、通信簿にしても何とか投票率を上げたかったわけだけど、結果として下がった。当日は天気もよかったのに。市民力というのかなあ、自分の生活だけにしがみついている人が多かった。
E 出口調査をしたら若い人は多かった。投票にいきましょう、という運動をしていたらしい。少なかったのは、やはり40代から50代の男の人でした。
G 選挙管理委員会に年齢別と投票所別の投票率の開示請求をしましょう。地域で言えば確か聖ヶ丘が53.1%で最高、鶴牧中学が37.45%で最低でしたかね。
A 今回の通信簿を作って、市民が議員を何処で何をどう評価できるのか改めて考えた。あたり障りのないものではまるでインパクトはない。市民の血税、約4千万円(4年任期の報酬)に相応しい議員かどうか、議員の主戦場である議会を評価しなければと、想いを新たにしている。
(了)
地域委員会
――デモクラシーの発展
永山 深沢宏行
昨年春に就任された市長の阿部裕行さんは、情熱と判断力を駆使しながら硬い板に穴をくり貫いていく方ではないでしょうか。
過日、市役所で「地域委員会」をテーマに市長と市民の対話会が催されましたが、この委員会の名は昨年選挙のときから気になっていて、一度お聴きしたいと思っていました。
質問を許され、改めて「地域委員会」の発想の原点はどこにあり、その理念はどういう内容なりやをお聴きしました。
阿部市長のお答えの主旨はこうでした。「地方の時代」が叫ばれてすでに30年、今のわが国は政治の迷走や環境破壊に見られる倫理的疾患をはじめ、所々での不条理な事象はまさに学級崩壊的様相を呈しており、このままではどうなってしまうのか。
そのための対症療法の第一歩は人の心の再生です。その具体的な方策が地域コミュニティの創造にあります。今の
こうしたコミュニティの核となるのが地域委員会です。人々はこの会を通して課題に立ち向かい、それを市レベルにまで高め広げようとする姿勢にこそ、私たちは本当の民主主義を育む力を発見できると思います。
以上です。聴いていて目から鱗でした。はじめ委員会の名を知ったとき、市議会や既存の各種委員会との立場や活動上の関係はどうなるのかなど形式的なことに神経が向きがちだったのですが、市長にとってそれは二次的、付随的問題で、何より緊要なのは血の通った地域社会=コミュニティの創生だった訳です。
ところで市長の言う民主主義という言葉は多様かつ進化する概念で簡単に定義することは難しいですが、ご存知のように民主主義=デモクラシーはギリシア語で「民衆の政治」を意味し、源は古代ギリシアのアテネ。それまでの財産政治に対し軍艦のこぎ手となって参戦した功により成年男子の全市民に参政権が与えられ民主政治が完成。しかし間もなくデマゴーグ(扇動政治家)のもとで衆愚政治におちいり歴史の舞台から姿を消します。
長い沈黙の後、民衆が政治に姿を現すのは近代の市民革命のときで革命を下から支え推進させました。その結果、議会政治は誕生しましたが参政権は一部富裕層に限られ、一般民衆には認められませんでした。革命指導者から恐れられ蔑視されたからです。
革命後の市民社会では資本主義が順調に成長し、未曾有の豊かさをもたらしました。新生児の議会政治も社会の均質性に支えられ議会政治の原則をそのままに具現していきました。
しかし経済の発展は互いに対立・競争する利益集団を生み、議会政治に大きな変容をもたらしました。その一つが政党の中身です。それまではファクション(派閥)程度のものが利益集団の利害を代表する組織となってしまいました。全国民を代表する選良によって構成された議会政治は、部分利益を代表する政党を中心として展開することになったのです。これは議会政治の原理への挑戦です。
こうした動きをさらに難しくしたのが普通選挙制の実現です。全国民が選挙権を持つ。長く歴史の地平に沈んでいた古代ギリシアの民主主義が漸く日の目を見たのです。
でも歴史の神様はそれ程簡単には微笑んではくれません。政治のはたらきに変化が起こりました。
まず政党の合理化です。全国的な組織作り、党内の集権制と官僚制、党員統制など機能上の問題のほかにマニフェストの作成、これは公約ですが同時に党員の行動を縛ることになり、主体的な“自己の判断”を制限することにもなります。
次は審議の有り様です。議員同士が同質な関係にあった時代と違い、互いに利害を背にしての議員間では理性的に意見を交換し、、円満に問題を解決しようとするディスカッションなど望むべくもありません。
その上、討議を打ち切る討論終結制や討論を深めるための多数決制を手っ取り早く結論を出す方策に利用するなどは以ての外です。
加えて次は国家の役割です。任務が治安や国防並びに最小限の公共事業に限られていた時代と違い、今日、人権意識の向上や社会矛盾の深化に基づいた、国民の広範な要望に答える国家の施策は、国民生活への介入を細かく進めることになり、国家の役割は、立法に対し行政の比重を増大させる結果となります。
これらはいずれも国政レベルでの“議会政治の危機”と呼ばれる要因ですが、さて地方の議会政治はどうなっているでしょうか。
先日、朝日新聞に地方議会の実態を示す調査結果が克明に掲載されましたが、ここでは2つだけ指摘します。対象議会数1,797、ここ4年間で首長提案の議案数の平均414本。うち修正または否決が3本以下の議会が全体の82%。議員提案の政策条例の制定数0本が91%、1本が7%、計98%です。
ある人はこれを見て大変驚いていましたが、何回か議会を傍聴させて頂いた私には正直それ程の驚きではありませんでした。でも具体的な数字には驚きました。
ここに今日の地方議会が抱える問題点が隠されているように思います。市議会の傍聴で感じた限りで言えば、問題の第1は議員の多忙繁多。忙しい事態を惹起しているのは、中央での政治変動と質的に全く同じ状況が地方でも起こり、行政や住民の動きに対応する議員の守備範囲を必然的に拡大していること。さらにこうした状態を増幅しているのが議員の細かいサービス精神の発揮です。
とにかく議員は忙しい。具体例を示せば、市の10年20年先の姿を想定する総合計画基本構想のような、議員に求められる最も本質的な議案から日常感覚的な河水の汚れ、公園トイレの水の流れ、野球場の水溜りのこと、加えて通常の議案である予算決算や社会保障問題などなど、もう目白押しです。
これでは個々の事案について自らの理性と良心に基づく判断のために、どれだけの時間を割くことが出来るのでしょうか。
問題の第2は議会内を一つの妖怪が歩き回っていることです。
その妖怪の名は政党といいます。議員が議会外で政党活動を行うのは自由です、でも議会内で政党の名を冠するのは、旧時代にはそれなりの理由はありましたが今では時代錯誤です。
議員は全住民の代表と言いながら、実質は一部の代表でしかない擬制の上に安住する訳にはいきません。
議員26名は一つのチームです。分派を形成して疎通を欠いていたのでは試合にはなりません。住民の民主的要求が益々増大し行政の活動が拡大する現状では、全議員が一丸となってもまともに戦える相手ではないでしょう。
党派に分かれ自由活発なディスカッションも見られない様子は、まさに日本文化の負の遺産とされる「タコツボ文化」を今も引き摺っている姿そのものです。これでは議会の存在理由が薄くなってしまいます。
この拙論の出発点は阿部市長の地域委員会と朝日新聞の実態調査の結果でした。
そして問題の核心は住民の市政への期待がいよいよ大きくなりつつあるとき、議会の姿勢や対応が十分に納得できるものになっていないことにありました。
これは議員個々の問題ではなく、いまの議会の構造に、新しい事態(今日の政治・社会の変動)に見合う進化・発展が見られず、止揚すべき矛盾がそのまま停止していることです。
その解決の糸口として地域委員会構想が大きなヒントを与えてくれました。
即ち本議会と地域議会の二本立てです。職務の重点は本議会は将来の
これは今はまだ夢です。しかしここにはデモクラシーの発展の指針が内包され、あるべき方向性を宿していると思います。
(了)
多摩市議会ウォッチングの会へ
入会にあたって
鶴牧 鶴田加代子
先日の総会ですが、まず、楽しく、そして目からウロコ!という感じでした。
多摩に住んで27年が過ぎましたが、その間に多摩市がどのような発展あるいは衰退の経路をたどっているのか、住環境、教育環境、人口数や年齢構成の移り変わりなど、ほとんど知らないことだらけです。
それでも、なんとか暮らしてこられたのですから、いかに日本がのんびりとした平和な国(見方によれば、政府やマスコミに対して不満があってもあきらめて追従する)なのかと、つくづく思う次第です。
私には息子が三人いますが、これまでは毎日、仕事、家事、子供のことなどに時間を割かれるごく平均的な50代の女性でした。この2〜3年は、子供の関係は若干ゆとりができたので、NPOや社会企業家の方たちの本を読んだり、話を聞いたり、少しずつ社会のことにも目を向けるように意識をしてきましたが、知れば知るほどこの世の中にはこんなにも問題があふれていたのかと驚き、どこで何をしたらよいのやらと、考え込むことがありました。
その毎日の中で、ウォッチングの会の会報・通信簿は非常に興味深く読ませていただきました。今まで何回も市議会議員の投票をしてきたのに、ほとんど何も議員の方や議会活動、そして、今、多摩市で何が問題になっているのかさえ知らないことに自分でもびっくり。
議会が開かれるのが実質4か月、報酬も一般市民平均の2倍以上とか・・・さらに、立候補するための資格が緩いのにもびっくりしました。はたして、この方に立候補して、税金から議員報酬をもらう権利があるのかと思う人まで立候補していて、このまま、無知、無関心のままでいれば、市民の大事な税金は怪しげな人物に流れたり、市政も市民のためにならないことが平気で行われてしまうのではないかと強い危機感を持ちました。
自然科学でいうところの「フラクタル構造」。「フラクタル」とは幾何学概念ですが、どんな小さな部分をとっても、それが全体に相似しているような図形のことですが、国家と政治家と国民の関係は、そのまま、多摩市と市議と市民の関係として、まさしく、この自然科学の法則に当てはまると思いました。
先日の大震災で、これからますます多くの問題が出てくるとは思いますが、まずは、身近な活動がたくさんの市町村で活発になれば、逆のフラクタル(?)として、国もよくなっていくのではないかと、そんな希望を抱いています。
(了)

お知らせ
新議会で議長選挙の所信表明を初公開。
議長選挙には加藤松夫(改革YUI)、遠藤ちひろ(みんなの党)、折戸小夜子(いろはの会)議員の3人が所信表明。
結果は折戸小夜子議長が当選
折戸小夜子議員15票、遠藤ちひろ議員3票、加藤松夫議員2票、
藤原マサノリ(自民党) 3票。
副議長選挙では安藤議員一人が所信表明。
結果は安藤議員が当選
安藤議員 24票、橋本議員(共産党)2票
新議会の会派 <下線付議員が会派代表…敬称略>
いろはの会(6人) …白田満、遠藤めい子、岩永ひさか、大野まさき、折戸小夜子、増田匠
公明党(5人) …安藤邦彦、今井みつえ、三階みちお、荒谷たかみ、池田けい子
共産党(5人) …橋本由美子、小林憲一、板橋茂、安斉きみ子、石渡あきら
自民党(3人) …藤原マサノリ、萩原重治、平野勝久
みんなの党(3人) …遠藤ちひろ、阿藤雄馬、桐木優
生活者ネット(2人)…向井かおり、星野なお子
社民等(1人) …佐久間むつみ
改革YUI(1人) …加藤松夫
* 多摩市議会の会派
多摩市議会基本条例第18条2「会派は、共通の理念をもつ政策立案を行うものであって、政策立案に資するための調査研究に努めなければなりません」
新委員会 <下線付議員が順番に委員長、副委員長…敬称略>
総務常任委員会 ――加藤、阿藤、三階、折戸、小林、増田、萩原
健康福祉常任委員会――板橋、桐木、遠藤(め)、安斉、星野、平野
生活環境常任委員会――今井、大野、池田、藤原、橋本、向井
子ども教育委員会 ――岩永、佐久間、荒谷、石渡、白田、遠藤(ち)
議会運営委員会 ――小林、岩永、三階、石渡、増田、萩原、遠藤(ち)

発行者: 多摩市議会ウオッチングの会 代表 神津幸夫
連絡先: 多摩市鶴牧3-14-2-102 電話:042-372-9496
Mail : kouzu@adagio.ocn.ne.jp
ホームページ: http://www.easy-db.net/tama-watch