地球の年齢推定法

1 年齢を知りたいものは、なんらかの素材や材料からできています。そのものをつくった素材や材料より、知りたいもの古くはならないはずです。ですから、「材料の年齢から推定する」には、地球の材料物質が見つかれば、その物質の年齢を知ればいいことになります。材料より新しい時代に、誕生日があるはず、という限定ができます。
 地球の材料物質は、ある種の隕石で、その年齢は、45億6000万年前と考えられています。地球の誕生日は、これより新しいはずです。
 

次に、「部分の年齢から推定する」というのは、知りたいものの誕生日は、知りたいもの部分より新しくはならないという理屈を使います。たとえば、人間の例をとると、人間のつめや髪の毛、骨のできた時期と、同じか、それより前に、その人は生まれたことになります。
 このように知りたいものをつくっている部分品の年齢を調べ、その中で一番古い部分品より、知りたいものは新しくならないということです。知りたいもののなかから、できるだけ、古い部分を探していけばいいのです。
 地球の誕生時にできた物質があれば、その物質の年齢を知ればいいのです。でも、いまのところ、そんなつごうのいいものは、見つかっていません。
 現在、地球最古の岩石は、約40億年前のものです。また、岩石ではないのですが、もとは古い時代にできた岩石の一部であったのですが、それが新しい時代の岩石に破片としてはいったものが見つかっています。約20億年前の堆積岩の中から、地球最古の鉱物として、44億0400万年前のものが見つかっています。
 もし、このようにして調べた両方の年齢が、同じか、近いなら、その年齢を、知りたいものの年齢としてよいはずです。現在のところ、地球の年齢、上で見てきたように、45億6000万年前から44億0400万年前という1億5600万年の間にしぼられました。

2 年代測定
 物理や化学の目でみると、じつは、天然の物質には正確な時計があることが見つかっています。それは、放射性元素(正確には核種(かくしゅ)といいます)というものを測定すれば、時計として利用できるのです。
 上でしめした隕石の年齢や岩石の年齢も、放射性核種によって求められたものです。ただし、この時計は、今から何年前にスタートしたという測りかたしかできません。これは、まさに「誕生時から動いている時計をみる」方法です。じつは、こんな便利な時計が、地球の物質にはうめこまれていたのです。
 ところが、この方法だと、100年前にはかったものと今年はかったものでは、100年の誤差が生じます。これは、しょうがないことです。ですから、ある年を基準にしてそのときより何年前としなければなりません。
 でも、古いものの年代測定では、そのような誤差は無視できるのです。たとえば、1億年前のデータに関する100年間の誤差は、1,0000,0000分の100、つまり100万分の1の誤差となります。ppmというオーダーにしかすぎません。これは、分析装置の限界を越えた誤差であります。つまり、分析誤差のほうが大きいほどのもとなります。
 ですから、地球の年齢を議論するには、いつはかったかということは気にしなくてすみます。

3 地球の年齢
 現在のところ、地球の年齢は、上でのべましたように、45億6000万年前から44億0400万年前という1億5600万年の間にしぼられました。
 まわりの状況証拠(じょうきょうしょうこ)から、もっと絞り込める可能性も出てきます。
 地球と同じころにできた月でみつかる岩石には約45億年前ものがあります。また、原始地球と一緒に成長していて、最終的には惑星として残ることができなかった惑星が壊れたものが隕石にみつかっています。その隕石の年齢は、約45億年前です。

 以上のいくつかの年齢の情報から、つぎのようなストーリが考えられます。
 地球は、他の惑星と同様に、隕石(炭素質コンドライト)が出来ていて、すぐそれを材料として、大きな惑星へと成長したことになります。地球は数1000万年ほどで数mmほどのつぶからから、数1000kmの大きさへと成長したことになります。ものすごい大激変(だいげきへん)が、惑星の形成の初期に起こったと予想されます。

▼ 地球ができたところ
1 初期の太陽系で
 地球ができたところとは、どんなところでしょう。地球誕生の場は、どんなところだったでしょうか。
 地球誕生は、太陽系誕生と同時で、一連の作用でできたと考えられています。太陽系の初期のようすは、ある種の隕石(炭素質コンドライト)をさぐると、太陽系誕生の頃の情報を読み取ることができます。

そんなシナリオを紹介しましょう。
 太陽系誕生のころ、すべての固体物質が溶けてしまうような高温(1800度)になりました。そのときにとけたものは、無重力では、マグマの玉となります。やがて冷えてくると、マグマの玉は、コンドリュールとして固まります。その後、さらに温度が下がると、固まるものはすべて固体となりました。やがて、コンドリュールは集まり、隕石となりました。

 ある隕石は、周りのものより大きくなったものがあります。大きな隕石には、強い引力が働きます。すると、その大きな隕石に、まわりの小さな隕石が集まってきます。するとその大きな隕石は、ますます大きくなっていきます。つまり、大きな隕石は、どんどんまわりの隕石を集め、やがて惑星と呼べる程の大きさ(10km程度)になっていきます。これを微惑星と呼んでいます。

多数の微惑星の中でも、より大きなものが、まわりの小さな微惑星を集めて、太っていきます。ますます太って、やがて惑星といえるほどの大きさのものになっていきます。このような大きさになったものを原始惑星とよびます。
 原始惑星は、太陽系では、10個ほどになっていきます。各々の軌道(きどう)の近くの物質を、それらの原始惑星は、すべて集めてしまいます。このうちの、太陽から3番目の軌道にできたのが、地球であります。

2 地球のできた位置
 地球は、どこでできたかというと、それは、軌道上の位置は現在と同じ位置であったことが、上のシナリオからわかります。
 太陽からの距離は、1億5000万kmです。でも、地球形成場(環境)は、上でのべたシナリオのように、初期のころは、激変しました。その後は、おだやかな状態へと変わりました。今では、太陽系のほとんどのすべての物質は、惑星とそのまわりをめぐる衛星に、とりこまれてしまいました。

 では地球の生命発生には、現在の位置でなければならなかったのでしょうか。それは、かならずしも今の位置でなくても、よかったはずです。少々のずれはゆるされているはずです。
 たとえば、現在の火星のある位置でも、水のある星として存在できたでしょう。でも、位置が今より太陽に近いと、金星のように、熱い惑星になったはずです。
 また、今の位置でも、火星のような大きさだと、引力が小さいため、大気を長く保っていることができません。少しずつ惑星から逃げていきます。その結果、火星のように小さい惑星では、大気が少なく、寒い惑星となってしまいます。

 現在の位置と大きさがないと、火星や金星のような運命をたどっていたはずです。今の海があり、生命がいる星として地球が旅だつには、今の位置、今のような大きさでなければ、ならなかったのです。
 これは、偶然のたまものなのか、必然なのかはわかりません。これ以上は、まだ、科学がときあかしてはいません。


TITLE:(その2)
DATE:2004/12/18 19:44