太陽コロナ

1994年11月3日 撮影(提供:明星大・日江井研究室)


 毎日東の空から登り、西の空へ降りていく星「太陽」。我々にとって一番馴染み深く、一番近い星でもあります。しかし、この「太陽」、実はまだまだ謎に満ちた星なのです。
 上の写真を御覧ください。これは1994年11月3日に南アメリカで観測された皆既日食の写真です。皆既日食の時は、通常我々が見ている太陽表面からの光が月によって遮断され、左の図のように太陽の外層大気(コロナ)からの光を観測することができます。

太陽大気の温度構造


このコロナの温度はいろいろな観測から100万度以上であると測定されています。ところが、太陽表面の温度は6000度であることがわかっています。ここで不思議だとは思いませんか?冷たいものの回りに熱いものが取り囲んでいるのです。その温度の分布をより詳しく書くと、上のグラフに示しているように、太陽では高度500kmあたりから温度が上昇し始め、高度2000kmを境に1万度から100万度まで急激に上昇します。この温度上昇の原因は、太陽表面の運動がひき起こした波が衝撃波になって温度を上げている、コロナ中の小さな爆発現象が温度を上げている、などの説がありますがいまだ解かれていない問題なのです。
 ちなみに、太陽表面から温度が最低になるところまでを光球、温度最低点から急激に温度が上がるところまでを彩層、温度が急激に上がっている層を遷移層、温度が100万度以上の所をコロナとそれぞれ呼んでいます。

「ようこう」軟X線望遠鏡で撮影した太陽コロナ


 それではどうやってコロナを観測したら良いでしょう? 一番上の写真のように皆既日食の時に観測したり、望遠鏡の前に円盤を置いて人工的に日食を起こしコロナを観測するコロナグラフという観測装置を使う方法があります。しかし、写真のように太陽の縁より外のコロナしか見ることができず、太陽表面で発生している現象とコロナの関係を知ることができません。実は、太陽全面のコロナを観測したい場合は宇宙に出なければならないのです。100万度のガス(コロナ)はX線を放射しますが、6000度のガス(光球)はX線を放射しませんので、X線だけを観測すればコロナだけを観測することができます。しかし、地球上ではX線は大気によって吸収されてしまいますので、X線観測用の望遠鏡を宇宙へ持って行かなければならないのです。「ようこう」に搭載されている軟X線望遠鏡は、まさにこの100万度程度のコロナが放射しているX線を捉えるための望遠鏡で、上の図のようなクリアーなコロナの画像を撮影することができるのです。