<太陽系形成過程の説明>

第一幕: 星くず(ダスト)から微惑星の形成へ

太陽の重力と円盤ガスのガス抵抗を受けながら原始太陽系円盤中を回っているダストが、太陽重力によって引かれていく。

※ダスト…太陽などの恒星の中で核融合によって合成されて、恒星の爆発とともに宇宙空間にばらまかれたもの。主に鉄や岩石の成分からできている。(原始太陽系円盤質量の約1%)

 

 


ダストは、太陽重力の鉛直成分(円盤に垂直な成分)によって円盤の中心面方向に引かれて行く。

その際、ダストが原始太陽の周りを回る速度と、ガスの速度の違いによって、ダストがガスから抵抗を受けて、公転速度が減速する。その結果、遠心力が弱くなるので太陽方向にも落ちて行く。( ⇒図を参照)

 

円盤中心と、太陽方向に落ちていく途中で、ダストどうしが衝突・合体して大きくなり、「ダスト粒子」と呼ばれるものに成長する。

 

 

このあと、ダスト粒子はさらに大きく成長して「微惑星」になるが、その形成過程には「重力不安定による形成説」と「段階的付着成長による形成説」との2通りの考え方があり、今も議論が続いている。

 

形成された微惑星の実態 大きさは直径数Kmで、質量は 1015 から1018 Kg となる。太陽系全体では、その数は 100億個にも達したはずである。

この時期に形成された微惑星は、現在でも、太陽系周辺部の水星やカイパーベルト天体として生き残っている。

第二幕:微惑星の暴走的成長

太陽のまわりをほぼ同一平面上でほぼ円を描いて回る微惑星。

 

⇒ お互いの重力によって軌道を乱し合う(重力散乱 図を参照

 

重力散乱により、微惑星の軌道が円軌道からだんだんずれてくる

 

軌道が交差している微惑星同士が衝突・合体で、成長し、「原始惑星」となる

   

粒子が成長していく過程には、「暴走的成長」と「秩序的成長」の2通りの考え方があった。

1980年代後半になって、微惑星の成長が暴走的成長であることが、コンピュータシミュレーションによって分かった( ⇒図を参照)

 

第三幕:原始惑星の寡占的成長

周囲の微惑星を自身の重力散乱で振り回す

大きく成長した原始惑星

振り回されて暴れている微惑星は捕らえにくいため、原始惑星の成長がだんだんと遅くなる。

 

 

 

 

 

少し離れた場所で、遅れて暴走的成長を始めた他の原始惑星が、同じような大きさに成長してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 


寡占的成長により複数個できた原始惑星の間隔は、どれくらいになるか?

 

原始惑星の軌道間隔は、「ヒル半径」の5倍から10倍になる。( ⇒図を参照)

ヒル半径とは、原始惑星の重力圏の大きさを表す量で、原始惑星質量の3分の1乗と、太陽からの距離に比例する。(ヒル半径の内部では、原始惑星の重力が太陽重力に勝っている)

 

軌道間隔がヒル半径の5倍から10倍になる理由:

ヒル半径5倍から10倍という軌道間隔は、原始惑星どうしの重力散乱現象である軌道反発( ⇒図を参照)の効果で決まる数字である。

 

原始惑星どうしの重力散乱は、お互いの距離が離れるほど弱くなり、ヒル半径の5倍を超える頃から急速に弱まる。その結果、軌道の間隔は典型的には、ヒル半径の10倍くらいとなる。

 

つまり、原始惑星間の間隔はヒル半径に比例していることになる。ヒル半径は、太陽からの距離に比例して大きくなるので、結局、原始惑星の間隔は太陽からの距離に比例して大きくなる。このことは、現在の太陽系惑星の様子と合っている。

 

原始惑星の質量とその形成にかかる時間は、どれくらいになるか?

 

ある原始惑星は、隣の原始惑星との間の空間にある微惑星を食べ尽くせば成長が止まるとして計算するのである。

計算結果は: (原始惑星の質量) ∝ (原始太陽系円盤の質量)3/2 x (太陽からの距離)3/4

      となる。

      この結果が示すのは、原始惑星が太陽の近くで出来ると、太陽重力の影響が強くなって、原始惑星からの重力の影響が遮られ、近くの微惑星しか集められなくなる。これは、ヒル半径が小さくなるからだ、と言い直してもよい。従って、太陽から近いところでは、小さな原始惑星しかできない。(⇒現在の太陽系と合っている)

 

一方、原始惑星の形成にかかる時間は:

   (形成時間) ∝ (原始惑星の質量)1/3 x (太陽系円盤の質量)-1 x (太陽からの距離)3

   

原始太陽系円盤の最小質量モデルを使用すると、形成される原始惑星の質量は、地球軌道で、1024 Kg、木星軌道では 3 x 1025 Kg、天王星軌道では 8 x 1025 Kg となる。(これらの数値は、実際の地球質量や、木星・天王星のコア(中心の固体)質量と比較すると、数倍以上小さい数値となっている)

また、その形成時間は、上記の式による簡単な見積もりでは、それぞれ70万年、4000万年、

10億年となる。

 

第四幕:原始惑星から地球型惑星への進化

 

上記の計算結果では、地球軌道のところで見積もられる原始惑星の質量は、1024 Kgであり、現在の地球の質量、6 x 1024 Kg に比べてかなり小さい。

よって、原始惑星から現在の地球への進化は、地球軌道付近に出来た数個の原始惑星どうしの巨大衝突ではないかと考えられている。

最近のコンピュータシミュレーションによっても、数億年かければ、数10個の原始惑星どうしの衝突で数個の地球型惑星が出来ることは可能のようである。

 

微惑星から原始惑星が形成されるときに、もっと暴走的成長が起こり、現在の地球型惑星の質量を持った原始惑星が、いきなり出来た可能性も検討されている。

これら二つの可能性は、現在まだ精力的に研究されているホットな研究分野で、もう少しすれば、はっきりしたことが分かって来るだろうと考えられる。

 

第五章:原始惑星からガスを纏う木星型惑星への進化

 

氷と岩石によって、より大きな原始惑星ができる

太陽から3天文単位以上離れたところでは温度が低く、氷ができる。)

原始太陽系円盤からガスを捕獲していく

 

⇒ 惑星+取り込んだガスの重力によって、さらにガスを取り込んでいく

 

⇒ 巨大ガス惑星(木星型惑星)の形成

 

 

固体の原始惑星コアによって、ガス捕獲は具体的にどのように進行するか?

一般に固体コアが大きくて重いほど、捕獲されたガスによる大気も重く高密度となる。

固体コアの質量がある値を超えると、質量が増大して強くなった大気自身の重力の効果でヒル半径が増大し、更に広い範囲から円盤ガスを取り込み、大気質量が更に増すという循環が止まらなくなる。

つまり、原始惑星系円盤から暴走的にガスが落ち込んでくることになる。このようなことが起こる固体コアの質量は、臨界コア質量と呼ばれ、地球質量の10倍程度である。

 

木星型惑星の固体コア質量は、太陽からどのような距離にあっても、この臨界コア質量まで達すると、その後の成長は止まる。

しかも、この臨界コア質量は太陽からの距離にはよらず、ほぼ一定なので、木星型惑星の固体コア質量は、どの惑星でも一定の値となる。(この理論的結果は、現在の木星型惑星の観測結果と一致している)

木星型の原始惑星は惑星軌道を回りながらガスを集めるので、惑星軌道半径を半径とした大きな円で、ヒル半径の円を断面としたドーナツ状の領域の中に存在する円盤ガスを捕獲すると考えることが出来る。

最小質量太陽系円盤モデルを使って、このガスの質量を見積もってみると、木星軌道で捕獲される円盤ガスの質量は、太陽質量の1000分の1 となり、現在の木星の水素・ヘリウム量と、ほぼ一致している。

しかも、この捕獲ガスによる木星大気の質量は、木星の固体コア質量の約10倍にも達する大量の高密度大気である。

 

他の木星型惑星のガス捕獲の進行について:

土星、天王星、海王星では、個体コアによるガス捕獲の様子が木星とは異なっている。

(天王星と海王星は臨界コア質量より重いのに殆どガス捕獲をしていない)

この理由は、木星より外側の原始惑星の固体コアの形成には時間がかかり、遅れて形成されるが、形成完了より以前に、原始太陽系円盤のガスは消失を始めるからである。図を参照

 

標準モデルによる太陽系形成理論の信頼性について:

 

標準モデルによる惑星形成の説明の中で、ただ1つ仮定をした量は、原始惑星系円盤が形成されたときの質量であった。

 

太陽のような恒星は、生まれてから約1000万年くらいで、中心付近の温度が上昇し核反応を開始して恒星として完成する。それ以前の恒星は原始星と呼ばれている。

最近の天体観測によれば、この原始星という若い星の周囲には、50%以上の確率で円盤が存在していることが分かった。

 

しかも、その観測された他の恒星(原始星)周囲の円盤は、これまでの「標準モデル」で仮定されていた円盤と、ほぼ同様のものであった。

 

他の原始星の円盤の平均的な大きさは、100天文単位程度で、太陽系と同程度である。

また、観測された原始星円盤の平均質量は、何と「標準モデル」で仮定されていた質量とぴったり同じの太陽質量の100分の1程度であったのである。